Omiya Medical Association
騒音職場のみなさんへ
大宮地域産業保健センター産業医         耳鼻咽喉科医師(騒音性難聴担当医) 武石 容子

級編・・・ 騒音作業は有害業務です。 著しい騒音下で長期間業務を続けると騒音性難聴が発生します。現在騒音性難聴には有効な治療法がなく、 職場の管理から予防することが大切です。今回は労働安全衛生規則に準じて騒音職場管理を行いましょう。
T.事業者のみなさんへ   埼玉県では一般健診の聴力4000Hzの有所見率は約8%です。   これよりはるかに%の高い事業場では騒音性難聴を発生している可能性があります。      次のような屋内作業場では作業環境測定基準に従って6ヶ月毎に等価騒音レベルによる騒音測定を   行いましょう!
  @  鋲打ち機、はつり機、鋳物の型込機等圧縮空気により駆動される機械又は器具を取り扱う業務を行う
     屋内作業場
  A  ロール機、圧延機等による金属の圧延、伸線、ひずみ取り又は板曲げの業務(液体プレスによるひず
     み取り及び板曲げ並びにダイスによる線引きの業務を除く。)を行う屋内作業場
  B  動力により駆動されるハンマーを用いる金属の鍛造又は成型の業務を行う屋内作業場
  C  タンブラーによる金属製品の研磨又は砂落し業務を行う屋内作業場
  D  動力によりチェーン等を用いてドラム缶を洗浄する業務を行う屋内作業場
  E  ドラムバーカーにより、木材を削皮する業務を行う屋内作業場
  F  チッパーによりチップする業務を行う屋内作業場
  G  多筒抄紙機により紙をすく業務を行う屋内作業場

 
 強烈な騒音(等価騒音レベル90dB(A)以上)の屋内作業場では次のような騒音対策を行いま
 しょう!
  @ 音源対策:作業の方法又は機械等の改善等
  A 伝播経路対策:隔壁を設ける等
  B 受音者対策:耳栓その他の保護具を備え、それを使用しなければならない旨標示

U.働くみなさんへ
  騒音性難聴で一度失った聴力は元に戻りません。騒音職場で用意された耳栓は正しく装着しましょう!
  以上ができれば初級編は卒業です。
  旧労働省が策定した「騒音障害防止のためのガイドライン」を参照してさらに騒音職場管理を進めて
  下さい。ご質問等ありましたら気軽にお問い合わせ下さい。

級編・・・
今回は「騒音障害防止のためのガイドライン(以下「ガイドライン」と省略)」に準じて騒音職場管理を行
いましょう。対象は主に等価騒音レベル85dB(A)以上の作業場です。これは85dB(A)以上の騒音作業によ
って経年的に騒音性難聴を発生することによります。

T.対象の作業場
  対象となるのは、初級編の8作業場に加えて等価騒音レベル85dB(A)以上となる可能性が大きい52作業
  場の計60作業場です。たくさんの作業場がありますから、一度は目を通しておきましょう!
  また、ここに掲げられていない作業場であっても、騒音レベルが高いと思われる場合は「ガイドライン」
  と同様な騒音職場管理を行うことが望ましいとされています。

  追加52作業場
  01 インパクトレンチ、ナットランナー、電動ドライバー等を用い、ボルト、ナット等の締め付け、取
    り外しの業務を行う作業場
  02 ショットブラストにより金属の研磨の業務を行う作業場
  03 携帯用研削盤、ベルトグラインダー、チッピングハンマー等を用いて金属の表面の研削又は研磨の
    業務を行う作業場
  04 動力プレス(油圧プレスおよびプレスブレーキを除く。)により、鋼板の曲げ、絞り、せん断等の
    業務を行う作業場
  05 シャーにより、鋼板を連続的に切断する業務を行う作業場
  06 動力により鋼線を切断し、くぎ、ボルト等の連続的な製造の業務を行う作業場
  07 金属を溶融し、鋳鉄製品、合金製品等の成型の業務を行う作業場
  08 高圧酸素ガスにより、鋼材の溶断の業務を行う作業場
  09 鋼材、金属製品等のロール搬送等の業務を行う作業場
  10 乾燥したガラス原料を振動フィーダーで搬送する業務を行う作業場
  11 鋼管をスキッド上で検査する業務を行う作業場
  12 動力巻取機により、鋼板、線材を巻き取る業務を行う作業場
  13 ハンマーを用いて金属の打撃又は成型の業務を行う作業場
  14 圧縮空気を用いて溶融金属を吹き付ける業務を行う作業場
  15 ガスバーナーにより金属表面のキズを取る業務を行う作業場
  16 丸のこ盤を用いて金属を切断する業務を行う作業場
  17 内燃機関の製造工場又は修理工場で、内燃機関の試運転の業務を行う作業場
  18 動力により駆動する回転砥石を用いて、のこ歯を目立てする業務を行う作業場
  19 衝撃式造形機を用いて砂型を造形する業務を行う作業場
  20 コンクリートパネル等を製造する工程において、テーブルバイブレータにより
    締め固めの業務を行う作業場
  21 振動式型ばらし機を用いて砂型より鋳物を取り出す業務を行う作業場
  22 動力によりガスケットをはく離する業務を行う作業場
  23 びん、ブリキ缶等の製造、充てん、冷却、ラベル表示、洗浄等の業務を行う作業場
  24 射出成型機を用いてプラスチックの押出し、切断の業務を行う作業場
  25 プラスチック原料等を動力により混合する業務を行う作業場
  26 みそ製造工程において動力機械により大豆の選別の業務を行う作業場
  27 ロール機を用いてゴムを練る業務を行う作業場
  28 ゴムホースを製造する工程において、ホース内の内糸を編上機により編み上げる業務を行う作業場
  29 織機を用いてガラス繊維等原糸を織布する業務を行う作業場
  30 ダブルツイスタ一等高速回転の機械を用いて、ねん糸又は加工糸の製造の業務を行う作業場
  31 カップ成型機により、紙コップを成型する業務を行う作業場
  32 モノタイプ、キャスター等を用いて、活字の鋳造の業務を行う作業場
  33 コルゲータマシンによりダンボール製造の業務を行う作業場
  34 動力により、原紙、ダンボール紙等の連続的な折り曲げ又は切断の業務を行う作業場
  35 高速輪転機により印刷の業務を行う作業場
  36 高圧水により鋼管の検査の業務を行う作業場
  37 高圧リムーバを用いてICパッケージのバリ取りの業務を行う作業場
  38 圧縮空気を吹き付けることにより、物の選別、取出し、はく離、乾燥等の業務を行う作業場
  39 乾燥設備を使用する業務を行う作業場
  40 電気炉、ボイラー又はエアコンプレッサーの運転の業務を行う作業場
  41 ディーゼルエンジンにより発電の業務を行う作業場
  42 多数の機械を集中して使用することにより製造、加工又は搬送の業務を行う作業場
  43 岩石又は鉱物を動力により破砕し、又は粉砕する業務を行う作業場4振動式スクリーンを用いて、
    土石をふるい分ける業務を行う作業場
  45 裁断機により石材を裁断する業務を行う作業場
  46 車両系建設機械を用いて掘削又は積込みの業務を行う坑内の作業場
  47 さく岩機、コーキングハンマ、スケーリングハンマ、コンクリートブレーカ等圧縮空気により駆動
    される手持動力工具を取り扱う業務を行う作業場
  48 コンクリートカッタを用いて道路舗装のアスファルト等の切断の業務を行う作業場
  49 チェーンソー又は刈払機を用いて立木の伐採、草木の刈払い等の業務を行う作業場
  50 丸のこ盤、帯のこ盤等材木加工用機械を用いて木材を切断する業務を行う作業場
  51 水圧バーカー又はヘッドバーカーにより、木材を削皮する業務を行う作業場
  52 空港の駐機場所において、航空機への指示誘導、給油、荷物の積込み等の業務を行う作業場

U.対象の作業場では作業環境測定基準に従って等価騒音レベルによる騒音測定(普通騒音計、周波数補正回路
  A特性、10分間以上)を行いましょう!
  (屋内作業場ではA測定(6Mメッシュの交点、5点以上、床上1.2〜1.5M)及びB測定(近接点、騒音
  レベル最大時)を6ヶ月ごとに、屋外作業場ではB測定を作業場に変更があればその都度)
      なお、屋内作業場では測定の日時、方法、箇所、条件、結果、実施者及び評価の日時、箇所、結果、実施
      者、措置内容を記録し、3年間保存しましょう。
                    
   
V.第U管理区分以上の屋内作業場では騒音職場であることを標示しましょう!
  なお、第V管理区分等の作業場では耳栓等の使用を標示しましょう。

W.第U管理区分以上の屋内作業場では騒音対策を行いましょう!
  なお、第V管理区分(必要に応じて第U管理区分)等の作業場では耳栓等を使用しましょう!
  
  対象の作業場に関して労働安全衛生法第88条の規定に基づく計画の届出を行う時は、騒音障害防止対策
  の概要を示す書面等を添付します。

  以上ができれば中級編は卒業です。
  次回上級編では聴覚管理を中心にご説明します。ご質問等がありましたら気軽にお問い合わせ下さい。

級編・・・
今回も「ガイドライン」に準じて、中級編に続く騒音職場管理を行いましょう。

T.対象の作業場では常時従事する作業者に騒音健診を行いましょう!
    騒音障害の程度は個人差が大きく、結果を就業上の措置に反映させる必要があります。
  なお、結果は5年間保存し、特に定期健診の結果は労働基準監督署長に報告しましょう。

 図.騒音健診(第T管理区分等の作業場では定期健診の省略が可能です)   事後措置として、軽度の聴力低下が認められる場合には第U管理区分等の作業場でも耳栓等使用の励行、 中等度以上の聴力低下が認められる場合には耳栓等使用の励行、作業時間の短縮、配置転換等を行います。   その際、日本耳鼻咽喉科学会認定騒音性難聴担当医を活用しましょう(騒音性難聴担当医は当センター に登録されています)。 U.対象の作業場では常時従事する作業者に、次のような労働衛生教育を行いましょう!   @ 騒音の人体に及ぼす影響   A 適正な作業環境の確保と維持管理   B 防音保護具の使用の方法   C 改善事例及び関係法令   騒音の人体に及ぼす影響のうち、代表的な疾患が騒音性難聴です。  騒音性難聴は、騒音により内耳の感覚細胞が障害されることによって起こります。  初めは耳鳴りがしたり、高音域の周波数4000Hz付近の聴力が低下してきます。  会話音域はそれより大部分が低いので、この際難聴の自覚はほとんどありません。  聴力低下が進んでこの音域まで及ぶと、会話に支障が出てきます。  騒音性難聴になると聴力は元に戻らないこと、高齢になる前から会話が不自由になることを伝えましょう。   以上ができれば騒音職場管理はだいたい合格です。  今後もこのような職場の管理を続けていきましょう。  平成17年埼玉県の15歳以上の就業者数は、多くの騒音職場を抱えている製造業が約64万人、建設業が  約30万人にも上ります。  モノヅクリの技術に誇りを持って働いているみなさんが、難聴の予防によってこれからの人生を有意義に  すごせるよう、サポートできれば幸いです。